2026年のベトナム市場で注目すべき企業は、単に売上規模が大きい企業ではありません。テクノロジー、データ、店舗網、金融、物流、素材、都市開発を組み合わせて、従来産業をプラットフォーム化している企業です。
※金額単位は原則として 10億VND。必要に応じて括弧内に 兆VND を併記しています。
※銀行は「売上」に相当する指標として 総営業収益または純営業収益 を使用。
※一部企業は会社発表・報道が「税引後利益」中心のため、税引前利益が確認できない箇所はその旨を明記した。
※本記事はあくまでも注目したい企業をピックアップ地たもので、投資を推奨するものではありません。ご判断は自己責任で。
1. FPT Corporation
ティッカー:FPT
事業セグメント:IT・AI・デジタルトランスフォーメーション
業績
- 2024年度:売上 62,825億VND(62.825兆VND)/税引前利益 11,069億VND(11.069兆VND)
- 2025年度:売上 70,113億VND(70.113兆VND)/税引前利益 13,039億VND(13.039兆VND)
- 2026年度予想:売上 58,580億VND(58.580兆VND)/税引前利益 11,629億VND(11.629兆VND)
FPTは、ベトナム上場企業の中で、最も明確に「テクノロジー」を成長エンジンとしている企業です。ITアウトソーシングに加え、AI、クラウド、データ分析、サイバーセキュリティ、半導体関連サービスなどへ事業領域を広げています。
同社の強みは、単なる受託開発企業ではなく、海外企業のデジタルトランスフォーメーションを支えるグローバルITパートナーへ進化している点です。日本、米国、欧州で大型案件を獲得し、AI Factoryやクラウド基盤への投資を進めることで、ベトナム発の先端テクノロジー企業として存在感を高めています。
2. Military Commercial Joint Stock Bank
ティッカー:MBB
事業セグメント:デジタル金融・銀行
業績
- 2024年度:純営業収益 55,413億VND(55.413兆VND)/税引前利益 28,829億VND(28.829兆VND)
- 2025年度:純営業収益 約66,254億VND(約66.254兆VND)/税引前利益 約34,268億VND(約34.268兆VND)
- 2026年度予想:純営業収益 未確認/税引前利益 約39,400〜40,000億VND(約39.4〜40.0兆VND)
MBBは、軍系・法人ネットワークを基盤にしながら、個人向けデジタルバンキングを急速に拡大している銀行です。
MBBの差別化要因は、銀行アプリ、法人向けデジタル金融、低コスト預金、グループ金融サービスを組み合わせたプラットフォーム型モデルにあります。銀行業界では、金利収入だけでなく、決済、保険、証券、法人サービスを含むエコシステム化が重要になっています。MBBは、その流れを代表する民間銀行の一つです。
3. Techcombank
ティッカー:TCB
事業セグメント:デジタル金融・富裕層金融・リテール銀行
業績
- 2024年度:総営業収益 約47,000億VND(約47.0兆VND)/税引前利益 約27,500億VND(約27.5兆VND)
- 2025年度:総営業収益 53,400億VND(53.4兆VND)/税引前利益 32,500億VND(32.5兆VND)
- 2026年度予想:総営業収益 未確認/税引前利益 37,500億VND(37.5兆VND)
Techcombankは、ベトナムの民間銀行の中でも、データ活用、富裕層金融、投資銀行、証券・保険との連携に強みを持つ銀行です。
同社の特徴は、単なる預貸ビジネスではなく、顧客データ、モバイルバンキング、投資商品、保険、証券サービスを結びつけた総合金融エコシステムを構築している点です。AIやデータ分析を信用管理、商品提案、顧客体験に活用することで、デジタル銀行としての競争力を高めています。
4. Mobile World Investment Corporation
ティッカー:MWG
事業セグメント:小売・オムニチャネル
業績
- 2024年度:売上 134,341億VND(134.341兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 3,722億VND(3.722兆VND)
- 2025年度:売上 155,930億VND(155.930兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 7,070億VND(7.070兆VND)
- 2026年度予想:売上 185,000億VND(185.0兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 9,200億VND(9.2兆VND)
MWGは、携帯・家電小売から食品スーパー、薬局、海外小売へと事業を広げてきた、ベトナム最大級の小売企業です。
同社の差別化は、実店舗網、在庫管理、オンライン販売、物流、購買データを組み合わせたオムニチャネル小売モデルにあります。Dien May Xanhが収益の柱である一方、Bach Hoa Xanhの食品小売事業が黒字化・拡大すれば、MWGは「家電量販」から「生活消費インフラ企業」へと進化する可能性があります。
5. FPT Digital Retail
ティッカー:FRT
事業セグメント:ヘルスケア小売・薬局DX
業績
- 2024年度:売上 40,104〜40,223億VND(40.104〜40.223兆VND)/税引前利益 約528億VND(約0.528兆VND)
- 2025年度:売上 51,083億VND(51.083兆VND)/税引前利益 1,219億VND(1.219兆VND)
- 2026年度予想:売上 59,500億VND(59.5兆VND)/税引前利益 1,550億VND(1.55兆VND)
FRTは、かつてはFPT Shopを中心とする携帯・家電小売企業でしたが、現在はLong Chau薬局チェーンを成長の中心に据えるヘルスケア小売企業へ変貌しています。
Long Chauは、薬局、ワクチンセンター、オンライン販売、顧客データを組み合わせることで、医薬品小売をデジタル化しています。ベトナムでは、医療アクセス改善、予防医療、高齢化、所得上昇が重なっています。その中でFRTは、薬局チェーンを単なる店舗網ではなく、ヘルスケア・プラットフォームとして育てている点が注目されます。
6. Masan Group
ティッカー:MSN
事業セグメント:消費・FMCG・リテールプラットフォーム
業績
- 2024年度:売上 約83,000億VND(約83.0兆VND)/税引前利益 未確認
- 2025年度:売上 81,600億VND超(81.6兆VND超)/税引前利益 未確認、NPAT Pre-MI 6,764億VND(6.764兆VND)
- 2026年度予想:売上 93,500〜98,000億VND(93.5〜98.0兆VND)/税引前利益 未確認、NPAT Pre-MI 7,250〜7,900億VND(7.25〜7.9兆VND)
Masanは、食品・飲料・日用品のブランド事業に加え、WinCommerceを通じた小売網、ミート、鉱物素材、金融・ロイヤルティ機能を組み合わせる消費者エコシステム企業です。
Masanの強みは、調味料や即席麺などの日常消費ブランドと、WinMart/WinMart+の店舗網を結びつけ、消費者データを蓄積できる点にあります。今後は、店舗、会員、決済、金融、プライベートブランドを一体化し、ベトナムの生活消費を囲い込むプラットフォーム型企業としての成長が期待されます。
7. Gemadept Corporation
ティッカー:GMD
事業セグメント:港湾・物流・サプライチェーンDX
業績
- 2024年度:売上 4,832億VND(4.832兆VND)/税引前利益 2,099億VND(2.099兆VND)
- 2025年度:売上 5,946億VND(5.946兆VND)/税引前利益 2,506億VND(2.506兆VND)
- 2026年度予想:売上 7,165億VND(7.165兆VND)/税引前利益 2,606億VND(2.606兆VND)
Gemadeptは、ベトナムの港湾・物流を代表する民間企業であり、港湾運営、コンテナターミナル、物流サービスを展開しています。
ベトナムでは、製造業移転、輸出拡大、FDI流入によって物流需要が増加しています。GMDの強みは、単なる港湾運営にとどまらず、港湾、倉庫、輸送、デジタル化されたサプライチェーン管理を組み合わせられる点にあります。物流インフラの高度化が進む中で、同社はベトナムの貿易成長を支える中核企業といえます。
8. REE Corporation
ティッカー:REE
事業セグメント:再生可能エネルギー・インフラ
業績
- 2024年度:売上 約8,600億VND(約8.6兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 約1,990億VND(約1.99兆VND)
- 2025年度:売上 約10,000億VND(約10.0兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 約2,528億VND(約2.528兆VND)
- 2026年度予想:売上 12,230億VND(12.23兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 2,814億VND(2.814兆VND)
REEは、電力、水道、M&E、不動産を手がけるインフラ企業であり、特に再生可能エネルギーへのシフトが注目されています。
REEの差別化要因は、安定したインフラ収益を持ちながら、風力、太陽光、水力など再生可能エネルギー資産を拡大している点にあります。ベトナムでは電力需要が構造的に増加しており、同時に脱炭素・再エネ導入も進んでいます。REEはこの二つのテーマを同時に取り込める企業であり、伝統的インフラ企業からグリーンインフラ企業へ進化しています。
9. Duc Giang Chemicals Group
ティッカー:DGC
事業セグメント:高機能化学・半導体/EV材料
業績
- 2024年度:売上 約9,900億VND(約9.9兆VND)/税引前利益 約3,600億VND(約3.6兆VND)
- 2025年度:売上 11,266億VND(11.266兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 3,189億VND(3.189兆VND)
- 2026年度予想:売上 未確認/税引前利益 約4,220億VND(約4.22兆VND)
DGCは、黄リン、リン酸、肥料、工業用化学品を中心に展開する高収益化学メーカーです。
注目点は、従来の肥料・基礎化学品に加えて、電子グレード化学品、半導体関連素材、EV・電池関連サプライチェーンへの展開余地を持つことです。ベトナムが製造業の高度化を進める中で、DGCは素材の上流から高付加価値産業を支える企業として位置づけられます。
10. Imexpharm Corporation
ティッカー:IMP
事業セグメント:製薬・高品質ジェネリック
業績
- 2024年度:売上 約2,205億VND(約2.205兆VND)/税引前利益 約404億VND(約0.404兆VND)
- 2025年度:売上 約2,441億VND(約2.441兆VND)/税引前利益 約446億VND(約0.446兆VND)
- 2026年度予想:売上 約2,981億VND(約2.981兆VND)/税引前利益 約493.5億VND(約0.4935兆VND)
Imexpharmは、ベトナム国内製薬企業の中でも、EU-GMP準拠の生産能力を差別化要因とする企業です。
同社の強みは、低価格品ではなく、高品質ジェネリック、抗生物質、病院向け製品、薬局向け製品を組み合わせている点にあります。ベトナムでは、医療支出の増加、国産医薬品の品質向上、輸入代替が進んでいます。IMPは高規格製造を武器に、国内製薬業界の高度化を担う企業として注目されます。
11. Vingroup
ティッカー:VIC
事業セグメント:EV・スマートモビリティ・コングロマリット
業績
- 2024年度:売上 約188,900億VND(約188.9兆VND)/税引前利益 未確認
- 2025年度:売上 331,800〜332,770億VND(331.8〜332.77兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 約11,100億VND(約11.1兆VND)
- 2026年度予想:売上 未確認/税引前利益または利益目標 35,000億VND(35.0兆VND)
Vingroupは、不動産、EV、教育、医療、観光、商業施設などを展開する、ベトナム最大級の民間コングロマリットです。
注目点は、VinFastを中心とするEV・スマートモビリティ事業です。Vingroupは、EV、充電インフラ、電動タクシー、スマート都市、グリーンエネルギーを組み合わせ、単一事業ではなくエコシステム全体で成長を狙っています。ただし、EV事業は投資負担が大きく、収益化のタイミングが重要なリスク要因となります。
12. Vinhomes
ティッカー:VHM
事業セグメント:スマート都市・不動産プラットフォーム
業績
- 2024年度:売上 約102,317億VND(約102.317兆VND)/税引前利益 約40,843億VND(約40.843兆VND)
- 2025年度:売上 154,102億VND(154.102兆VND)/税引前利益 未確認、調整後総収益 183,923億VND(183.923兆VND)
- 2026年度予想:売上 250,000億VND(250.0兆VND)/税引前利益 未確認、税引後利益 50,000億VND(50.0兆VND)
Vinhomesは、Vingroup傘下の不動産開発会社であり、単なる住宅販売ではなく、大規模都市開発、スマートシティ、商業・教育・医療を含む統合都市モデルを展開しています。
Vinhomesの差別化は、住宅を単体で売るのではなく、都市そのものを開発し、交通、商業、教育、医療、環境、スマート管理を一体化する点にあります。ベトナムの都市化が続く中で、スマート都市型不動産企業としての成長余地は大きいと考えられます。
まとめ
